2026年9月23日 · スタジオより
日本の写真を蒐集する:プリント、写真集、そして見るべきところ

二十年前、日本の写真を蒐集していたのは、ごく限られた専門家の輪でした。いまでは、写真の中でも最も求められる分野のひとつです。何が蒐集されているのか、買う前に何を確かめるべきか、そして存命の作家による新しいエディションがどこに位置するのか。その素朴な手引きです。
なぜ日本の写真が蒐集されるのか
市場を変えたものは二つあります。ひとつは、日本の写真集の再発見です。2004年からのマーティン・パーとジェリー・バジャーによる『The Photobook: A History』、そして2017年に金子隆一とマンフレッド・ハイティングがまとめた『The Japanese Photobook, 1912–1990』によって、日本の外ではほとんど知られていなかった本が、世界中で求められるものになりました。少部数で刷られたプロヴォークの時代の本は、いまではこの分野で最も稀少なもののひとつです。
もうひとつは、写真家たち自身です。森山大道、東松照明、荒木経惟、杉本博司、そして多くの写真家の作品が、いまでは世界の主要な美術館に収められています。そのまわりには、広告やデザインの現場で鍛えられた写真家を多く含む、より大きな世代がいて、その仕事はいまようやく見直されはじめています。三橋一樹はその世代に属しています。その物語はデザインの机から暗室へでお読みいただけます。
蒐集できる三つのもの
ヴィンテージ・プリントは、写真が撮られた時期に近く、写真家自身か、写真家のために作られたプリントです。最も稀少で最も高価であり、真贋の確認に最も注意が要ります。
後年のプリント、現代のプリントは、のちに、多くは番号入りのエディションとして、原版のネガやそのスキャンから作られます。いま存命の作家が販売する写真のほとんどはこの種類で、このサイトのプリントもすべてそうです。
写真集は、日本の写真家の作品を、作家が意図したとおりの形で持つ、多くの場合最も直接的な方法です。状態のよい初版で、帯や、あった場合には函がそろっていれば、のちの刷りよりはるかに価値があります。

買う前に確かめたい七つのこと
- エディション。 この写真は、このサイズで何枚あるのか。誠実な売り手は総数とあなたのプリントの番号を示し、一度売れた番号を再発行しません。当サイトの番号についてはエディション番号の読み方をご覧ください。
- 大きさ。用紙と画像の両方。 同じ「A2」と呼ばれるプリントでも、画像の面積は大きく違うことがあります。両方をミリで尋ねてください。
- 技法と用紙。 ゼラチン・シルバー・プリント、発色現像方式のカラープリント、アーカイバル顔料プリントは、それぞれ異なる物であり、寿命も異なります。コットン紙への顔料プリントは、カラーの技法の中で最も長く持ちます。理由はアーカイバル顔料プリントとは何かで。
- 署名。 作家の直筆か、遺族の印か、印刷された複製か。どれも間違いではありませんが、それぞれ、はっきりとそう示されるべきです。
- 証明書。 作品名、エディション、番号、サイズ、用紙、日付が記され、プリントとともに旅をするものであるべきです。
- 来歴。 その写真はこれまでどこで売られ、その記録はあるのか。来歴がないことは必ずしも問題ではありません。問題は、確かめられない来歴です。
- 状態。 四隅、斜めの光で見た表面、紙の裏を見てください。どのように送られるのかも尋ねましょう。当サイトのプリントは、硬い筒に丸めてお届けします。
存命の作家の新しいエディションの位置
存命の作家から、あるいは作家を代理するスタジオから直接買うことは、蒐集を始める最も素直な方法です。価格は作家が決め、エディションは最初の番号から記録され、来歴はあなたから始まります。
このサイトの「トロピカル・ガーデン」のプリントは、その実際の姿です。どれもコットン紙へのアーカイバル顔料プリントで、2000年代にこのシリーズが東京のアートギャラリー・クローゼットで初めて販売されたとき、作家が手書きで記していた原簿を引き継ぐ、番号入りのエディションです。価格は最も小さい用紙の27,000円から、最も大きい18×24インチの58,000円まで。作家の直筆署名は4,000円で承ります。すべてのプリントに二か国語の証明書が付属します。
国境を越えて買う
このサイトのプリントは日本円で表示・請求され、ほかの通貨の表示は目安です。プリントは追跡と補償つきで日本から発送されます。関税や輸入時の税がかかる場合は、お届け先でご購入者のご負担となります。国内価格には消費税が含まれ、輸出には消費税がかかりません。
はじめの一歩
蒐集が初めての方は、値上がりしそうなものではなく、共に暮らしたいものから始めてください。一週間、毎日その写真を見てください。まず画面で、できれば紙で。ギャラリーウォールでは、すべての作品を刷り上がりの大きさで掛けているので、選ぶ前に大きさを確かめられます。各エディションの次の番号は作品一覧でご覧いただけます。
出典
- Steidl The Japanese Photobook, 1912–1990
- Phaidon『The Photobook: A History』マーティン・パー、ジェリー・バジャー(2004〜2014年)
- 1854 Photography the story of Japanese photobooks, 1912–1990
