2026年9月13日 · 今月の一枚
十月:花がうつむく時

毎月、一枚の写真がその文章とともに公開されます。十月の一枚は、この計画すべてのはじまりとなった一枚。まっすぐには立とうとしなかった、チューリップです。
作家自身の言葉は作品のページにあります。ここで付け加えられるのは、プリントについての覚え書きだけ。A2のジャーマン・エッチングでは、曇り硝子が画面には映らないかすかな温かみを帯び、チューリップのピンクは紙の上ではなく、紙の中に落ち着きます。
この一枚には対があります。『休む』は同じ季節のチューリップを、今度は白い花で、曇り硝子の球の肩に横たえ、モノクロームで撮ったものです。並べて掛けると、二枚はひとつの思いのふたつの表情として見えてきます。うつむく花と、重さを下ろした花。作家の台帳によれば、『休む』は最も大きなエディションで発表された一枚でした。一方『花がうつむく時』はまだ一枚も売られておらず、ここでの番号は1番から始まります。

夕暮れの相模湾にかざしたA2のプリントと、青い時間の額装。

