2026年9月23日 · スタジオより
フィルム、判型、フレックスタイト:トロピカル・ガーデンはどう作られたか

写真は、それを生んだ機械の面影を少しずつ残しています。2003年、作家がどのカメラをウブドに持っていったのか、まだ本人からは聞けていません。尋ねているところで、答えはこのページに書き加えます。けれど、受け取った原版のファイルは、すでに多くを語っています。ファイルが明かすこと、そしてそれが、作家が歩んだ五十年の日本のカメラとどう重なるのか。
ファイルが語ること
「トロピカル・ガーデン」の原版ファイルは、ほぼすべてが同じ大きさです。3,679 × 4,677ピクセル。そのいくつかには「Flextight 848」という名のカラープロファイルが埋め込まれ、多くは2000年代半ばのAdobe Photoshop CSで保存されています。
Flextight 848は、デンマークのイマコン社が2003年に出したフィルムスキャナーです。イマコンは2004年にハッセルブラッドの一部となりました。つまり「トロピカル・ガーデン」の少なくとも一部は、デジタルカメラではなく、フィルムで撮られ、スキャンされたものです。
1:1.27の画面
原版の縦横比は1:1.27です。この数字は、いくつかのカメラを候補から外します。35mmの画面は1:1.5、正方形の6×6は1:1。けれど、ふたつの古典的な判型がほぼぴったり一致します。実画面がおよそ55×70mm(1:1.27)の6×7判ロールフィルムと、およそ1:1.26の4×5インチシートフィルムです。
比率は手がかりであって、証明ではありません。画面はトリミングできるからです。それでも、この世代の静物写真家が手に取るカメラと矛盾しません。そして、このサイトのプリントがすべて画面を切らず、規格の用紙に合わせてトリミングしない理由でもあります。
日本のカメラの五十年
三橋の仕事の歩みは、日本のカメラの興隆とほとんど重なっています。
一眼レフの時代、1959〜1972年。 1959年のニコンFが、日本の一眼レフを職業写真家の標準にしました。1964年の旭光学ペンタックスSPは、TTL露出計を数多くの写真家の手に届け、1977年までに四百万台以上が売れています。1972年にはオリンパスの設計者、米谷美久がOM-1を世に出し、プロ用ボディの重さを半分にしました。小さく速い35mmカメラが、プロヴォークの世代の路上の写真を可能にしたのです。
スタジオのための中判、1969〜1970年。 広告や静物写真には、別のものが必要でした。より大きなネガです。旭光学は1969年にペンタックス6×7を発売しました。35mm一眼レフをそのまま120フィルムに拡大したようなカメラで、その画面はトリミングなしで8×10のプリントに伸ばせることから「理想のフォーマット」と呼ばれました。翌年にはマミヤRB67が登場し、1970年代のスタジオのカメラになります。1972年まで広告のアートディレクターだった三橋は、その両方の世界を知っていました。そして旭光学自身のギャラリー、六本木のペンタックスギャラリーで、二度個展を開いています。
カラーリバーサル、1990年。 富士フイルムは1990年にフジクローム・ベルビアを発売しました。粒子が細かく、緑と赤が鮮やかなスライドフィルムで、その後十年の広告と雑誌の色を決めました。「トロピカル・ガーデン」の深い緑は、どのフィルムで撮られたにせよ、その時代の色です。
スキャンの時代、2003年。 2000年代、暗室はスキャナーに置き換えられていきました。フレックスタイトの工夫は、フィルムをゆるやかな曲面に保ち、光の通り道にガラスを置かないことです。ニュートンリングも、ガラスの上のほこりもない。そのため中判や大判のスキャンで重宝されました。
ネガから顔料へ
原版は、幅およそ27cmで350ピクセル/インチです。最も大きな18×24インチの用紙では、画像はおよそ240ピクセル/インチで刷られます。質感のあるコットン紙に顔料がのせられる細かさを、十分に上回る数字です。このコレクションがXLで止まるのは、この計算のためです。お選びいただけるサイズはすべて、原版が何も付け足さずに支えられる大きさです。
- 01原版2000年代の作家のマスター。一部はフィルムからのスキャン
- 02マスター作品ごとに色と余白を調整
- 03試し刷りラボで実物を確認
- 04本刷り顔料インクでコットン紙に
- 05署名ご希望により作家が直筆で
- 06番号・証明書原簿と証明書に記録
- 07発送筒に丸めて
まだわからないこと
どのカメラで、どのレンズで、どのフィルムだったのか。すべての写真がフィルムからのスキャンなのか、一部だけなのか。バリで撮られたものと、自宅のスタジオで撮られたものは、それぞれどれほどなのか。これらは作家本人に尋ねるべき問いで、答えを得しだい、このページに加えます。ペンタックスやマミヤ、ハッセルブラッドをお使いの方で、写真に何か見覚えのある方は、info@ikkimitsuhashi.com までお知らせいただけたらうれしいです。
出典
- ペンタックス6×7:Wikipedia、Pentax Forums
- ペンタックス・スポットマチック:Camera-wiki、オリンパスOMシステム:Wikipedia、マミヤRB67:Wikipedia
- ニコンF:Casual Photophile
- フジクローム・ベルビア:Wikipedia
- イマコン Flextight 848:ユーザーガイド(ハッセルブラッド)
- ファイルの計測:作家の原版をスタジオが確認
