2026年9月23日 · スタジオより
『Star Man』ほか、三冊の写真集
このサイトにプリントが並ぶ前に、本がありました。三橋一樹は二十一年のあいだに三冊の写真集を出版しています。どれも、グラフィックデザインから写真へと歩みを移していった人生の、それぞれ異なる時期に作られたものです。ここでは三冊を簡単にご紹介します。
『Star Man』(1973年)
『Star Man』は最初の写真集で、1973年に東京の写真評論社から出版されました。1970年代初頭に森山大道『写真よさようなら』や東松照明『I am a King』を世に出した出版社です。大判で薄い本で、28ページ、35.5 × 34 cm、ソフトカバー。白い表紙に、赤い筆記体でタイトルが記されています。モデルは井上博。
自身のスタジオを設立し、写真家として活動を始めた翌年の出版であり、武蔵野美術学校から日本デザインセンターに入社して八年後のことでした。デザイナーの眼が、本の隅々にまで行き渡っています。
蒐集家の方へ: 署名入りの初版は稀少で、ヨーロッパのオークションではおよそ280〜350ユーロで落札されています。
『Long Long Long Beach』(1982年)
『Long Long Long Beach』は1982年、東京の三草社から出版されました。デザイン業を閉じ、写真に専念しはじめて二年後のことです。フロリダの海辺で撮られた、静かな連作です。海を前にした人々、現在と重ねられる過去。文章は脚本家の市川森一。その中の一行、「みんな海を見ていた」は、読んだ人の心に長く残ります。
定価は1,800円でした。作家自身の肖像がその経歴のページに載っており、私たちの作家についてのページの写真は、そこから取られています。
『Elvis My Happiness』(1994年)
1994年に出版された『Elvis My Happiness』は、エルヴィス・プレスリーの生涯をたどる風景の、写真による巡礼です。何十年も前に作家がアメリカで撮った写真をもとにしており、スタジオが将来公開を予定しているアメリカのアーカイブに、最も近い一冊です。
本とプリントが出会うところ
写真集は連作であり、順に読まれるためのものです。このサイトのプリントは一枚の写真であり、共に暮らすためのものです。両者をつなぐのは、同じ節度です。急がない眼と、見る人に余白を残す写真。
写真集から作品に出会われた方は、まず作品一覧からご覧ください。そして原簿についてでは、作家が手書きで記したエディション番号を、ここでどのように引き継いでいるかをお読みいただけます。